哲学とは何か?初心者向けに特徴・目的・実生活への役立ち方を解説

哲学

このブログでは、心理学と哲学を通じて『心』を探求し、心理学と哲学で心の謎を解く思考実験を使って深い問いに答えていきます。私たちの行動や認知、意識の本質を理解するために、これらの学問をどのように融合させることができるのでしょうか?

哲学とは?

哲学は、物事の「本質」や「意味」について深く考える学問です。簡単に言うと、「なぜ?」と問い続けることです。哲学は、人生の大きな問いや、私たちが日常的に考えないような問題を掘り下げて考えることを目指しています。

例えば、以下のような問いについて考えます。

「私たちはどうして生きているのか?」

「正しいとは何か?」

「自由とはどういうことか?」

「人はどう生きるべきか?」

こうした問いを掘り下げることで、自分の考え方や価値観を見つめ直したり、人生の目的や意義について新たな視点を得ることができるのが哲学です。

哲学の特徴

特徴については大きく分けると以下の3つに分けることが出来ます。

・抽象的思考
・体系的思考
・批判的思考

それぞれの特徴について、簡単に解説していきましょう。

抽象的思考

哲学は物事を表面的に捉えるのではなく、その本質や根本的な原因を考えます。例えば、「何が存在するのか?」「真実とは何か?」といった非常に抽象的で広範なテーマについて考えることが哲学の特徴です。

これにより、私たちは日常の出来事や現象を超えて、より普遍的な原則や法則を探求します。

体系的思考

哲学は単に「考えを巡らせる」だけでなく、その思考を一貫した体系に組み立てます。たとえば、倫理学、形而上学、認識論、論理学といった異なる分野に分かれ、各々が理論的に整理されます。

体系的な思考とは、矛盾しないように理論を構築し、思考を深めていくプロセスです。

批判的思考

哲学者は常に「なぜそうなのか?」と問い続けます。既存の考え方や伝統的な価値観を疑い、異なる視点から物事を再評価します。これにより、より深い理解が得られると同時に、新しい思考の道が開かれます。

例えば、「自由とは何か?」という問いを立て、自由に対する私たちの理解を挑戦的に見直すことが哲学的なアプローチです。

哲学の目的

哲学の目的は、さまざまな観点から人間の存在、世界の本質、知識、道徳、価値などについて深く探求することです。哲学は、答えが明確でない問題に対する理解を深めたり、私たちの考え方や認識の枠組みを広げたりすることを目指します。

具体的には、以下の5つの目的があります。

・存在の探求
・知識と真理の追求
・倫理的指針の提供
自己と世界の理解を深める
理論と実践の架け橋

それぞれの目的について、簡単に解説していきましょう。

存在の探求

哲学の根本的な問いのひとつは「なぜ何もないのではなく、存在するのか?」ということです。この問いは、形而上学という哲学の分野で特に扱われます。私たちが生きている世界、その背後にある「存在」の本質を探り、何が「存在」とは何か、そして存在するということがどういうことなのかを問い直します。

例えば、「世界はどのようにして始まったのか?」、「時間や空間はどのように理解されるべきか?」といった問いも形而上学の領域に含まれます。

知識と真理の追求

哲学は、真理や知識の本質について深く掘り下げます。「どうすれば確実に知ることができるのか?」という問題、つまり「認識論」の問いに関わるものです。

知識とは何か?私たちはどうして何かを「知っている」と言えるのか?真実はどこに存在するのか?これらの問いは、私たちの認識に関する根本的な問題に触れるものです。

倫理的指針の提供

哲学は私たちがどう生きるべきか、何が正しいか、何が悪いかを考える学問でもあります。倫理学という分野は、行動や選択の基準を探求します。例えば、「善とは何か?」、「公正とはどういう状態か?」といった問いを通して、私たちの道徳観や倫理観を構築します。

古代ギリシャのソクラテスやアリストテレスは、倫理的な生活の重要性を説きました。彼らは、個人や社会の幸福をどう追求するべきかを考えました。

自己と世界の理解を深める

哲学は自分自身を理解するための手段でもあります。たとえば、「私は誰なのか?」、「私の存在はどういう意味を持つのか?」といった問いに取り組みます。

デカルトの「我思う、ゆえに我あり」という命題は、自己認識の出発点として有名です。このように、哲学は自己の存在や人間の本質を探求し、自己理解を深める手助けをします。

また、哲学は世界に対する私たちの理解を広げます。科学や歴史、宗教、社会など、さまざまな領域における知識を整理し、私たちがどのように世界と関わるべきかを考えます。

理論と実践の架け橋

哲学は理論的な学問ですが、同時に実践的な指針も提供します。理論を実生活にどう活かすかが、哲学を学ぶ目的のひとつです。例えば、倫理学では「正しい行動とは何か?」を考えますが、その結論は実際の生活や社会にどのように反映されるべきかを問いかけます。

哲学が日常生活に役立つ理由

哲学を学ぶことで、普段の生活にもいろいろなメリットがあります。

私たちに深く考える力を与え、問題解決や意思決定をより理論的かつ柔軟に行えるようにしてくれます。哲学的な思考法を身につけることで、批判的思考、倫理的判断、自己理解、そしてストレス管理など、さまざまな側面での力を高め、より充実した人生を送る手助けとなります。

今回はその中から6つの具体例を解説していきましょう。

批判的思考を養う

日々、私たちはさまざまな情報に触れます。新聞やテレビ、インターネットなどから得る情報が必ずしも正しいとは限りません。広告や政治的なメッセージにだまされないようにするためには、哲学的な批判的思考が重要です。例えば、ニュースで伝えられる政治的意見をそのまま受け入れるのではなく、なぜその情報が伝えられているのか、その背後にどんな意図があるのかを考えることができます。

例えば、あなたがSNSで見た投稿が本当かどうか疑問に思った時、その情報源や根拠を調べたり、意図的に偏った情報を広めている可能性を考える力を養います。

倫理的判断を助ける

日常的に直面する判断を下す場面で、哲学は非常に有用です。例えば、職場で同僚が不正行為をしているのを目撃した場合、「それを報告するべきかどうか?」という道徳的ジレンマに直面します。この時、倫理学的な考察(例えば、結果主義や義務論の視点)を通じて、どの選択が最も適切であるかを考えることができます。

もし同僚が他の人の功績を横取りしていた場合、その行動を見過ごすべきか、それとも正すべきかを倫理的に考えます。自分がその場で行動を起こさないことが、どのような影響を社会や他の人々に与えるのかを深く考えることができるようになります。

思考の柔軟性を高める

例えば、同じ問題に直面した場合でも、違った視点を持つことで解決策が広がります。家族や友人との対立の際に、相手の立場に立ち、相手の考え方や価値観を理解しようとすることができれば、より円滑なコミュニケーションが生まれます。

職場で、部下が自分の提案に反対した場合、反対意見をただ「受け入れられない」と考えるのではなく、なぜ反対しているのか、その理由を理解しようと努めます。これによって、より多角的に物事を捉え、最適な解決策を見つけやすくなります。

自己理解と成長を促進する

自分自身の価値観や長期的な目標を明確にすることで、日々の選択が一貫性を持つようになります。仕事や家庭、趣味など、生活全般において「自分は何を大切にしたいのか?」という点がより鮮明になるのです。

キャリアを選ぶ際に、自分が本当にやりたいことや目指している目標が何かを考えるとき、哲学的な問い(例えば「生きる目的は何か?」)を基にして自分の方向性を見つけることができます。

ストレスや不安に対する心の準備を整える

人生の不確実性に直面した時に、哲学的な思考が冷静な対応を助けてくれます。予期しない出来事やストレスフルな状況に対しても、「どうしてこの出来事が起きたのか?」という視点を持つことで、受け入れやすくなります。

例えば、大事なプロジェクトで失敗したときに、ストア派的な視点で「失敗は成長の一部だ」と考えることで、落ち込むことなく次のステップに進む力を得ることができます。

コミュニケーション能力を向上させる

人間関係での対話や議論を建設的に行うために、哲学的なアプローチが活かされます。相手の意見を尊重しつつ、自分の意見も理論的に伝えることができるようになります。

例えば、職場で同僚との意見交換をする際に、自分の意見が論理的に正しいことを伝えつつ、相手の意見や感情にも配慮して、対話を深めることができるようになります。

哲学の歴史的な背景

哲学は古代ギリシャで始まり、時代とともにさまざまな哲学者たちによって発展してきました。

その中でも特に影響を与えた哲学者3名を紹介していきます。

ソクラテス(紀元前469年~399年)

ソクラテスは、アテネの市民であり、古代ギリシャの哲学の始まりに大きな影響を与えた人物です。彼は一切の著作を残していませんが、彼の思想は主に弟子たち、特にプラトンによって伝えられました。ソクラテス自身は教えることを専門にしていたわけではなく、街角での対話を通じて人々と議論を交わしました。

特に有名な思想として「無知の知」が挙げられます。

無知の知という言葉は「私は何も知らない」というもので、これは「無知の知」として知られています。彼は人々が自分の無知に気づくことから哲学が始まると考えました。これにより、真の知識にたどり着くためには、まず自分が何も知らないことを認めるべきだと主張しました。

プラトン (紀元前427年~347年)

プラトンはソクラテスの弟子であり、アリストテレスの師にあたる人物です。彼はアテネの哲学学校である「アカデメイア」を創設し、学問の発展に尽力しました。プラトンは、ソクラテスの思想を整理し、体系化したことで特に有名です。

特に有名な思想として「イデア論」が挙げられます。

彼によれば、私たちが見る物質的な世界は「イデア」の不完全な写しに過ぎないとしました。イデアは普遍的で変わることのない、真の現実の世界であり、感覚的な世界はその反映に過ぎないと考えました。例えば、「美しいもの」や「正義」という概念は、個々の事物とは異なる抽象的で永遠の存在であるイデアによって支配されています。

アリストテレス (紀元前384年~322年)

アリストテレスはプラトンの弟子であり、またアレクサンダー大王の家庭教師でもありました。アリストテレスは「リュケイオン」という学び舎を創設し、多くの学問分野において膨大な著作を残しました。プラトンとは対照的に、アリストテレスは実験と観察を重視し、理論的な体系を構築しました。

特に有名な思想として「形而上学」が挙げられます。

アリストテレスは「実体」という概念を重視し、物事の本質を探求しました。彼にとって、物質と形態(形式)は分けて考えることができ、実体は物質と形態が一体となったものだと考えました。例えば、木のテーブルは物質(木材)と形(テーブルの形)から成り立っていますが、テーブルとしての本質はその両者が結びついたものです。

まとめ

哲学は、人生や世界についての「なぜ?」を深く考え、理論的に答えを求める学問です。日常生活にも大いに役立つ力を養うことができ、自分自身や社会についての理解を深める手助けになります。難しいものと思われがちですが、身近な問いをきっかけに少しずつ哲学に触れていくと、豊かな思考が広がります。

タイトルとURLをコピーしました